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「小惑星群のことがあって、通信データを詳しく調べてみたら分かったんだ」
「宇宙って言っても、月や火星のコロニーとの通信もあるだろう?」
「火星は『失われた二十年』から立ち直っていない。地球との通信はほぼ途絶した状態が続いている。もちろん、月との通信量はかなりあるよ。だが、二つとも違う。通信は小惑星帯の方角から繰り返し届いているんだ。一カ月前も、今日も」
「小惑星帯? 火星と木星の間のアステロイドベルトか、どうしてそんなところから数字が送られてくるんだよ」
「でも、間違いなく小惑星帯の中だよ、発信源は」
野田は眉間に深いしわを寄せた。
「上には報告したのか」
野田は頷いた。
「それにしても、とんでもない話だな。健太、大丈夫かな…」
星也がつぶやいた。
「健太がどうしたのか」
野田は川口健太とも星也を通じて友人関係にある。
「インパクト地点の調査班に『呉』が加わる。健太たちが上空から調べるらしい」
「そうか…」
野田はしばらくの間沈黙した。
「現場に…。何も起こらなければいいんだけど…」
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