DAYS.1 インパクト

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 国の統治機能を集約した司令船は船団の中心からやや後方に位置していた。一万トン級で大きさはそれほどではないが、潜水機能も有した復元率一〇〇%の特殊な船だ。 「直径五十メートル規模の小惑星というのは、どのくらいの威力をもっているのかね」  大澤首相は緑川補佐官に質問した。小惑星をめぐる緊急会議は、観測結果待ちのため先ほど小休止した。衝突地点が判明したら再開することになっている。 「天体物理学者に照会したところですが、小惑星の組成によっても随分と違いがあるようです」 「組成…というと」  緑川は手元のパッドを指でなぞった。 「岩石が主体の小惑星であれば、大気圏内でほぼ燃え尽きますので、地表への影響はそれほど大きくはないとのことです。陸地なら直撃しても直径数百メートルのクレーターができる程度。半径数十キロ圏は避難が必要になりますが、被害は限定的です。海に落ちた場合でも、津波はそれほど遠くまでは伝播しません」  大澤は頷いた。 「ただ、小惑星に鉄などの金属が多量に含まれている場合は、そうはいきません。仮に全体の五〇%が鉄で構成されていた場合には、かなりの部分が燃え残って地表に激突するか、地表近くまで残存します。金属質の含有割合によっては、被害の大きさが岩石型の数百倍になる可能性もあるとのことでした」 「それが数十個来るとしたら…余り想像したくはないな」 「おっしゃる通りです」 「とにかく、衝突地点が問題だ。できるだけそこから遠ざからねばならん」
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