転校と引越し

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転校と引越し

時期は春に近づき引越し当日。 おじさんと母は、るりと兄の転校手続きなり婚姻届なりと書類に追われ忙しくしていた。 荷物はある程度まとめてあった為、すんなりトラックに乗せて新居に運ばれた。 終始母は笑顔を絶やさなかったが、おじさんは疲れもあってか少しピリピリしていた。 おじさん「あー疲れたな、なんか飯でも食うか!」 と少し大きめの声で言われびっくりしていたら おじさん「なぁ、母さん飯作ってくれ」 と母を呼び遅めの昼食を摂ることになった。 母を母さんと呼んだことに驚き放心状態でいると おじさん「2人ともここに座りなさい」 と急に席に促され大人しく兄と従った。 何を言われるのか...不安に思っていると おじさん「これから一緒にここに暮らすから、お父さんと呼びなさい」 と急に言われた。頭の中はパニックだった…… (は?いきなり何言ってんの?お父さん?ん?) と違和感しかなく、兄と2人で唖然としていると 母が昼食をテーブルに運び出しながら 母「あんたたち、まだお父さんって言ってないの?もう一緒に暮らすんだしお父さんなんだからちゃんと呼びなさいよ!」 と少し般若の顔を覗かせてキツめに言われた。 おじさんはそうだそうだと言わんばかりに、兄と2人の顔をジロジロ見ながら、お父さんと言う言葉を待っているようだった…… 兄はその雰囲気を汲み取り 兄「……お義父さん……」 と言いずらそうに小さい声でボソッと呟いた。 それに満足したのかおじさんは顔の強ばりがなくなり、少し穏やかな表情になった。 おじさん「るりは?言わないのか!」 と少しキツめに言われ るり「お義父さん……」 と真顔で棒読みの如く呟いた。おじさんと母はあまり面白くなかったのか、不満そうにるりを見つめ 母「るり!何その言い方!ちゃんと言いなさい!ちゃんと言わないとご飯抜きだからね!」 と叱られた。おじさんは少し驚いていたが、顔は無表情のまま おじさん「母さんご飯冷めるから食べようか、るりはご飯抜きだけどな」 と冷たく言い放ち、その場に居ずらくなり自分の部屋に篭った。 とてもイライラしていた…… (何故そんなことを言われなければならない?は?意味わかんない!お父さん?って何?) とあまり納得していない事を突きつけられ、頭の中をグルグルと回っていた。 そうこうしているうちに、引越しが終わりリビングからは楽しそうな母と相打ちに似たような兄とおじさん笑い声が漏れてきた。 (なーんだ……ここでも1人か……) と心の中でボヤいていると、兄が部屋まで来て 兄「あんま気にすんなよ、お前嫌いだろ、アイツ」 と思ってもみないことを言われた。 びっくりしていると兄はその言葉だけを言い自分の部屋に帰って行った。 そうこうしているうちに、日が暮れて夕食の時間になっていた。夕食の時間になっても降りてこない事をよく思わなかったのかおじさんがノックもせずに部屋に入ってきた。 おじさん「るり、いつまでそうしてるんだ!夜ご飯だろ!早く降りてきなさい!」 と怒鳴り、かなり苛立っていたるりはおじさんを、キッと睨みつけて乱暴にリビングに降りていった。 それを慌てて追いかけて来て おじさん「なんだその顔は!」 と言いながら、バシッとビンタされた。 余計イライラしながらリビングに行くと、兄と母は静かにご飯を食べていた。 何も言わずにドカッと椅子に座り、無言でご飯を食べていると今日の態度のことで母とおじさんにネチネチと説教された。 その空間が嫌で嫌で仕方がなかった為、さっさと夕食を食べ食器を下げて部屋に篭った。 イライラが収まらないるりは、自分の部屋にあるタンスを殴り穴を開け少しスッキリして るり「はぁ...ちょっとスッキリしたけど、あんなやつと暮らすとか無理……」 と項垂れながら、ベットに入り寝た。
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