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「この料理番組でやってる料理って、絶対3分じゃ作れないよなー」
お昼前、テレビを眺めていた河城先生が呟いたこの一言で、私たちの午後の予定は決まった。
「あ、このサラダとかどうですか?」
「あー……いけそうっちゃいけそうだけど、火使わないって負けた気がするんだよなぁ」
午後1時。2人仲良くソファーに並んでしていたのは、仕事の資料作りではなく、某料理番組サイトのレシピを片っ端から眺めること。
火を使って3分で調理できること。調味料の計量や野菜の下ごしらえ、カットなどは時間に含めない。という謎の独自ルールに基づいたレシピをひたすら探していく。
「……チャーハン、いけるとおもうか?」
「微妙ですけど……生肉を使わなければ何とか、ですかね……」
「っし、それでいってみるか」
ご飯を作る分だけボウルに入れて、チャーシューは角切り、長ネギは微塵切り。ついでに野菜室の隅で少し萎びていた玉ねぎも使ってしまいたくて、こちらも微塵切りにしておく。油、塩胡椒、醤油もそれぞれ適量を小皿に準備した。
「……卵って、割っておくのはアリですかね?」
「んー……ナシ?折角だしちょっと難易度高めで」
ワクワクした表情で子供のように笑いながらそんな事を言う河城先生につられて、こちらも思わず笑いを零す。
「……よし、準備いいな?」
全ての下準備を終えて、後はタイマーのボタンを押すだけ。河城先生はフライパンの前でスタンバイしていて、私は卵を割るところから。
「はい、大丈夫です」
「いくぞ……よーい、スタート!」
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