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いつもどおり晩ごはんの食材をマンション一階のスーパーで買って、高嶺くんの部屋に戻ると、珍しく高嶺くんが先に帰宅している。
しかも、玄関に仁王立ちで私を待ち構えていた。
「あれ?今日早いね」
「『あれ?』じゃないだろ。俺に何か言うことないか?」
開口一番すごく神妙な顔で尋ねられた。
「高嶺くんに言うこと?」
神妙な顔つきで、大きく頷く。
「…あ!おかえりなさい」
「ただいま…って、そうじゃない!何でこの前誕生日だって言わなかったんだよ?」
あ。
瑞希、今日も忙しかったのに、もう高嶺くんにお説教したんだ。
仕事早い。
「いや、だって…高嶺くん忙しそうだったし。私の誕生日なんてわざわざお祝いしてもらうほどのものでもないというか…」
「…そうだった。お前はそういうヤツなんだった」
今度は頭を抱えて大きなため息をついた。
「そんなことより、折角だから一緒にご飯食べよう?今日はロールキャベツなんだ。すぐ作るから座ってテレビでも見てて」
と、言ったのに、私が大急ぎでロールキャベツを作っている間、高嶺くんは無理して仕事を切り上げて来たのか、書斎に引っ込んでしまった。
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