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私が通うようになるまでほぼ未使用だったオシャレ圧力鍋のおかげで、トロットロのロールキャベツがあっという間に出来上がった。
「高嶺くん、ご飯できたよー」
呼びかけても返事がない。
仕方なく書斎まで行くと、物凄く真剣な表情でタブレットを覗き込んでいる。
「高嶺くん、ご飯…」
「あ。ちょうど良かった。ちょっとこっち来て」
「え?私??」
弁護士の仕事は個人情報だらけなので、できるだけ書斎には立ち入らないようにしているんだけど。
「いいから」
手招きされて、おずおずと高嶺くんの隣に立つと、見せられたのはブライダルジュエリーのサイトだった。
「静花、どういうのが好き?俺はこういうのが似合うんじゃないかと思うんだけど」
見せられたのは私でも知っているブルーボックスのリング。
似合うと言われたものはオーソドックスなデザインのもの。
確かに他のセンターストーンの周りも小さな石で飾られているものに比べれば、地味な私には似合いそうだ。
でも、それよりも。
「お、お値段っっっ!わ、私の年収超えてる!!」
「そこは気にしなくていいから」
そして、何よりも。
「これっ、エ、エ、エ、エンゲージリングだよね…?」
「そうだけど。サプライズも考えたけど、こういうの、好みがあるんだろ?一生モノだし、勝手に買わないほうがいいと思って」
ってことは…。
ってことは……。
「高嶺くん、本当に私と結婚する気なの?」
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