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ある。 正直、あるけど。 改めて尋ねられるとちょっと言い辛い。 「ほら、昨日何か言いかけてただろ。俺がカッコいいとか、弁護士だとかの(くだり)の時」 高嶺くんがそこまで覚えているなら言い逃れはできそうにない。 ミルクティーを一口飲んでから切り出した。 「あの…結婚となると、どうしても私達だけの問題じゃなくなるじゃない?」 「…確かに普通はそうかもしれないけど、俺の家は違う。誰にも何も言われないし、言わせない」 急に高嶺くんの表情が固くなったような気がするのは気の所為だろうか。 気になるけれど、ここで引き下がるわけにはいかない。 「で、でも、うちの母のこと…有耶無耶になってたから、ずっと気になってて…」 「ああ、なんだ、そのことか。アレは完全に来望の思い込みだ。うちの両親が離婚したのは母親の方の浮気のせいだ。父親と静花の母さんがそういう関係になったのは、母親が出ていった後のはずだ。あの女、外面だけは異常に良かったから、来望が勝手に勘違いしたんだろう」 職業柄仕方がないのかもしれないけれど、淡々と語る高嶺くんに、なんとなく違和感を覚えた。
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