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「えー?じゃあまだ買ってもらってないの?」
「う、うん…」
出勤するなり、お説教の効果があったのかどうか瑞希に尋ねられ、高嶺くんとジュエリーショップ巡りをした話をしたら、この反応。
「ちょっと、しっかりしてよ。静花にはさっさと幸せになってもらわないと困るから発破かけてあげたのに。」
「困るって、何で瑞希が?いつもみたいにちゃちゃと付き合っちゃいなよ」
『東海林くんと』と小声で名前を付け足せば、瑞希が『うっ』と息を止め、そして吠えた。
「…し、静花が幸せにならないと、心配で付き合ってなんてられないのよ!」
「でも…。いくらご両親が離婚してるからってあの言い方…。…本当は私がこんな…地味でダサくて根暗だから紹介したくないだけなんじゃないのかと思ったら、怖くて指輪なんて選べないよー」
絶望の余り机に突っ伏して叫ぶと、頭上から東海林くんの声が降ってきた。
「…また新しいの付けられてますよ。背骨の付け根のところ」
襟のところを押さえて跳ね起きた。
東海林くんは何とも言えない顔をしている。
恥ずかしい…!
見えるところに痕は付けないでってお願いしたのに!!
「全く…。そんなに愛されといて何が不安なんだか」
瑞希はちょっと冷たく言い放ってから、私の襟のところをポンポン叩きながら言った。
「ま、絶対静花のことが恥ずかしいとかそういう理由じゃないけど。結婚するなら不安なこととか、気になることはちゃんと聞いた方がいいと思うよ」
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