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あれから二週間。
その間ずっと、私は高嶺くんに言われた脅し文句について考えていた。
会って後悔するってどういうこと?
やっぱりアレかな。
『うちの景に、お前のような人間は相応しくない』とか言われちゃうのかな。
それとも『好きな額を書きなさい』って小切手を渡されて、別れるよう言われるとか?
想像すればするほど怖くなる。
それでも、少しでも良い印象を持ってもらえるように、ゼ●シィを買って結婚準備マナー特集を読んだり、美容院に行ったり、親ウケのいい洋服を買ったりして、私にできる最大限の準備をして決戦の日を待った。
高嶺くんはそんな私に気づいてはいたようだけど、特にアドバイスをくれることはなかった。
そして、今朝。
よりによって当日。
珍しく早起きして一緒に朝食を食べていたタイミングで。
「今日、会わせるから」
と言ってきた。
「えっ、今日!?」
「そう、今日」
「何でそんな急に」
「事前に教えたら静花が緊張で死ぬと思って」
そ、それは…っ!
確かにそうかもしれないけど。
「あ!手土産準備してない…!」
「大丈夫。必要ない。ちょっと遠いから。9時には出発するぞ」
…ってあと1時間もない!!
「高嶺くんはゆっくり食べてて!」
食べかけの朝ごはんをほっぽり出して、洗面所に駆け込んだ。
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