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普段あまり出番のない高嶺くんの車に揺られること2時間。 「ねえ、本当にここで合ってる?」 「ああ、大丈夫」 連れて来られたのは郊外のショッピングモール内にあるカフェだった。 約束に時間には少し早かったのか、高嶺くんは案内係の店員さんに待ち合わせであることを告げることなく、店内を見渡しやすそうな席を選び、私に隣に座るように言った。 てっきりそれなりにかしこまったお店か、ご自宅にお邪魔するものだと思っていたので、少しだけ緊張が解れる。 けれどそれは束の間だった。 入り口のところに、凄いオーラを放つ美人が現れたから。 しかも、その顔の作りは、少し離れたここから見ても高嶺くんと同じと分かる。 間違いない。 高嶺くんのお母さんだ。 一歩一歩こちらに近づいてくるごとに緊張が増し、背筋が伸びる。 相手がいよいよという位置に来て、こちらから挨拶するべく立ち上がろうとしたら、高嶺くんに止められた。 どうして?と尋ねる間もなく高嶺くんのお母さんは私達のテーブルの前までやって来て─ そして、私達の目の前を通り過ぎ、一番奥の、二人用の席に座ってしまった。
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