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え?
なんで??
どういうこと???
全く状況を理解できないでいると、「行くぞ」と短く言った高嶺くんが、私の手を掴んで一番奥の席に向かって歩き出した。
高嶺くんのお母さんは、席に着くとすぐにスマホを取り出し、ずっと画面を見つめている。
そして、高嶺くんが真正面に立つと、やっと顔を上げた。
やっぱり気づかなかっただけ?
いや、違う。
そう思ったのは、高嶺くんのお母さんが酷く怪訝そうな顔をしていたから。
まるで目の前の息子が見ず知らずの赤の他人であると言わんばかりに。
そんなお母さんに、高嶺くんが更にワケの分からないことを言い出す。
「タクヤさんなら来ませんよ」
は?
タクヤさんって誰??
「……あなた、一体?」
お母さんはお母さんでやっぱり高嶺くんに気付いてないしで、本当にもう何がなんだか。
ただ、二人のやりとりを黙って見守るしかできない。
「さすがだな。実の息子の顔が分からないだけじゃなく、声を聞いてもまだ思い出せないんて」
「実の息子…?ってことは、あなた…まさか、景なの?」
「そのまさかだよ。俺だってまさか実の母親に結婚報告するために、マッチングサイト使ってアンタ好みの男になりすます羽目になるなんて思いもしなかったけどな」
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