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「どこなのよ?景のいいところって。言ってみなさいよ」 再び睨みつけられ、膝が震える。 本当は今すぐ逃げ出したい。 だけど、今日だけは、今だけは引き下がれない。 「たっ、高嶺くんは、私の事何回も助けてくれました。学校で襲われそうになった時も、お客さんに襲われそうになった時も」 「あなた…ちょっと襲われすぎじゃない?大丈夫なの??」 「高嶺くんのお陰で無事でした!!それに、親友と上手くいかなくなったときも、仲を取り持ってくれたし、熱が出たときちょっと甘えたがるところは可愛いし…っ」 「甘える?景が…?」 信じられないと言うように、お母さんの眉間にシワが深く刻まれる。 「…もういいわ。こんなところで大声でのろけないでよ、恥ずかしい。でも…あなただって今は若くて綺麗かもしれないけど、数年もしたら景に捨てられるに決まってるわ」 それは────ある。 大いにあり得る。 けど、ここで認めるわけにはいかないのに。 高嶺くんのための反論ならできても、自分のことになると口を糸で縫い付けられたように言葉が出てこない。 何か言わなきゃ。 言い返さなきゃ。 そう思えば思うほど、何も浮かべられないでいると、ずっと黙っていた高嶺くんが 「大丈夫。それだけは、絶対にない」 と言って、胸元から写真のようなものを取り出して、お母さんに手渡した。
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