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しばらく待っても続きを語ろうとしない高嶺くんに、「カフェを出よう」と促し、駐車場に向かった。 車に戻ると、高嶺くんはエンジンだけかけて、やっと話し始めた。 「俺の母親がどんな人間であっても…静花が俺への態度を変えないことは分かってたんだ」 体内溜まった毒を吐き出すような、苦しげな声に、ただ、黙って耳を傾ける。 「敢えて言わなかったのは、打算だ。それも、限りなく無意識に近い」 限りなく無意識に近い打算…? 言ってることが難し過ぎて、理解できない。 顔に出ていたのか、高嶺くんが私の頭を撫でくりまわしながら、少しだけ柔らかくなった口調で続けた。 「俺自身、『予め知らせたら静花がビビる』から言わないんだと思ってた」 実際そうなんじゃないの? だって、『普通に呼び出しても来ないから、母親好みの男になりすましておびき出す』なんて言われたら、ノミの心臓しか持ち合わせていない私は、絶対今日ここに来ていない。 「…だけど、本当は違った。何も知らせずに会わせた方が、よりショックが大きいだろう?わざと情報を与えず、最悪なシチュエーションで会わせて、静花の同情を最大限に煽り上げれば、今よりもっと確実に、俺から離れて行かなくなる。無意識に、そう考えたんだ」
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