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一息に言い終えると、高嶺くんは私の頭から手を離して、ハンドルに突っ伏した。 「あー…よりによって一番言われたくい人間に指摘されて気づくとか。しかもソコがあの女にそっくりなんて。本っっっ当に気分悪い」 それであんなにダメージ受けてたのか…。 「…どんなお母さんだったの?」 「今も、静花がもっと同情すればいいと思ってるけど、言っていいのか?」 「それ、当の本人に言っちゃってる時点で全然打算的じゃないよ」 「それもそうだな」と顔を見合わせて笑い、やっと車内の空気が軽くなったのは束の間。 「勝手に産んどいて、ある程度手が離れたら、ほぼネグレクトだよ。お陰で俺は物心ついたときから親に誕生日を祝ってもらったことがない」 ああ、それで─ 脳裏に浮かんだ幼い高嶺くんの、孤独な姿に胸が潰れそうになって。 気づけば、助手席から身を乗り出し、目の前にいる高嶺くんの頭を抱え込むようにして抱きしめていた。 「これからは、私がお祝いする、毎年必ず!一生…高嶺くんがおじいちゃんになっても!!」 「…うーわ。もしかして。俺、今静花にプロポーズされた?同情効果テキメン過ぎ」 「同情もあるのかもしれないけど、私がそうしたいの。そうさせて」 「静花が指輪決めないからまだ俺もちゃんと言ってないのに。静花の癖に先こすなよ」 文句を言いながらも、私の腰のあたりに回されていただけの高嶺くんの両腕に、じわじわと力が込められた。 「…でも、悪くないから一生祝わせてやる」
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