4736人が本棚に入れています
本棚に追加
間接的に、私の代わりに森永さんに仕返しをしてくれたらしい。
ゾットするほど腹黒い笑み。
森永さんのことなんて、すっかり忘れていたのに。
考えたこともなかったけど、絶対敵に回しちゃダメな人だ。
それにしても…
私なんかに憐れまれたくないだろうけど、
幼馴染で、
周りから付き合ってると誤解されるほどの仲で、
公私ともにずっと支えて来たのに─
地味でダサくて暗くて(以下略)な私に高嶺くん掻っ攫われて。
止めに裁判で実家の会社を敗訴させられるって。
私にしたことを差し引いても森永さん、転生できるレベルで可哀想な気が…(リアル悪役令嬢だし)。
などと、遠い日本にいるであろう森永さんに思いを馳せていたら、不意に肩を引き寄せられた。
「何考えごとしてるんだよ?ハネムーン中だぞ。俺のこと以外考えるなよ」
そのまま唇を重ねようとする高嶺くんを、慌てて押し返す。
「ちょ、ここ、外!人に見られちゃう」
「気にするなよ。暗いし、知り合いがいるわけじゃないんだから」
そう言って強行突破しようとする高嶺くんを止めたのは、聞き覚えのない女性の声だった。
「…その声、もしかして高嶺先生?」
最初のコメントを投稿しよう!