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二人同時に振り返ると、上品そうな女性と、星明かりでも分かるほど恐いくらい整った容姿の男性が立っていた。 「き、桐嶋先生っ!?何でこんなところに!?」 珍しい。 いつもクールな高嶺くんが飛び上がって立ち上がり、姿勢を整えている。 「そんなの休暇に決まってるでしょ。誰かさん(・・・・)のせいで顧問先一件消えちゃったから。折角子どもたち預けてまで憂さ晴らしに来たのに…まさかこんな所まで来て高嶺先生に会っちゃうなんて…」 どうやら同業者さんらしい。 それも、今話していたフォレスト社側の弁護士さんのようだ。 気まずい。 自己紹介とかするべきなんだろうけど、『(くだん)の裁判に勝ってゲットしたお金で、ちょっと豪華な新婚旅行に来てまーす♡』なんて口が裂けても言えない。 特技を生かし、息を殺して空気と同化しようとしていたのに─ 「で、そちらは?」 あっさりと見つかってしまった。 「あ………妻です」 初めて『妻』と紹介された感動に浸る暇もなく、私も立ち上がってペコリと頭を下げた。 「え?高嶺先生って結婚してたの?」 「実は、今日昼にこっちで式挙げて、そのまま新婚旅行に…」 言った。 ほぼ言っちゃった。 さっき私が口が裂けても言えないと思っていたことを。 どうするの?この空気!!
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