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本当に。
人生って、何が起きるか分からない。
色んな誤解から、ただの穴だと思い込んで、
「好き」という一言さえ言えずに逃げ出してしまったのに。
今、こうして、夫婦になって、南の島で一緒に笑い合っているなんて。
一人ぼっちだった私に居場所をくれたこと。
私のことを諦めずに探し続け、奇跡を起こしてくれたこと。
出会いからこれまでの全てが、夜空の幾千の星となって輝けば、愛と感謝が心に収まりきれないほど溢れ、自然に私の方から高嶺くんに口づけていた。
「…はっ?お前っ!自分が人に見られるとか言っておいて!!」
怒られるとは思っていなかったので、急に我に返り、恥ずかしくなる。
「ご、ごめん!何か感極まっちゃって!」
「…いや、いい。むしろそれでいい」
火照りまくる顔を両手で隠していると、ふわりと体が浮く感覚。
驚いて顔から手を離すと、私の体は抱き上げられていた。
「これから、いつでもどこでも静花からキスできようになるくらい、俺に愛されてるって自信つけさせてやるから」
やっと慣れてきたとはいえ、ドアップのキメ顔に、また頬が熱くなる。
「今夜はその前哨戦ってとこかな。俺たちも部屋戻るぞ」
私を抱いたまま力強く歩き始めた様は、多分ほぼさっきの桐嶋夫妻と同じで。
「お…お手柔らかにーーーっ」
私は誰もいないビーチに向かってひらひらと手を振った。
Hard to say
The End
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