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その2台のキャノピーが開き、くすんで真っ黒のゴーグルを掛け、錆びだらけで黒いオイルが染み付いた鎧を着る大柄な黒づくめの亜人が現れる。
首に巻いた、これまた黒いスカーフを風で靡かせる亜人が此方に狙いを定めて構えたものは、ロングレンジの旧型ソニックライフル。
鉛色のライフルの先が螺鈿に輝いた瞬間、こちらの車両後方が爆発し、炎上· · ·
車内は全自動運転システムの警報アラートが鳴り響き、母、姉、妹の悲鳴が私の耳をつんざく。
父はオートドライブモードから瞬時にマニュアルモードへ切り替えるが、もう間に合わない。
此方の車は高度が下がり、ガイドラインから反れる。
車体の後ろから炎が上がり、吹いた黒煙が止まらない。
「この中立星に何故、入国禁止の亜人がいるのだ!?
警護は一体どうなっている!?」
父の嘆きは当然無駄。
車は全国民が入山禁止の森林へと落下してゆく。
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