第4話 壊れ始めた心

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――― 「じゃあ、帰るな。また連絡する。」 「うん、待ってるね。あ、次来る時までには完成させとくよ、絵。」 「おぅ。圭吾の絵見ると、元気出るから。楽しみだな。」 「期待してて。」 僕が笑うと、邦宏くんもほっとしたように笑う。僕はそっと彼の背中を押した。 「ほら、早く帰ってあげて。」 「圭吾……」 「じゃあね、おやすみ。」 「……じゃあな。」 パタンと閉まったドアを、僕はいつまでも眺めていた。ドアが閉まる直前、振り返った彼の顔を思い出しながら…… ――― そして、次の週の土曜日。 「久しぶり。」 「お帰り。邦宏くん、待ってたよ。どーぞ。」 邦宏くんは約一週間ぶりに、僕の家に来た。僕は彼を早速、アトリエへと連れて行った。 「やっと出来たんだ。入って。」 「お邪魔しまーす。」 「ふふ。」 何回も足を踏み入れているのに、毎回彼は緊張気味に入る。僕は思わず出た笑いを慌てて引っ込めた。 「これだよ。」 「うわー……」 イーゼルに立てかけられたキャンバスを一目見た瞬間、そう声を出したきり固まってしまった彼。僕はドキドキする心臓を押さえて、じっと彼を見つめた。 .
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