第4話 壊れ始めた心

3/4
前へ
/19ページ
次へ
――― 背景は、白と黒。その境界線には真っ赤な円があった。 そしてそれは、真ん中からキレイに真っ二つに別れ、間からは青い筋が何本も垂れていた。 暗くてどんよりとして、グロいんだけれど、どこか眩しくてキレイで美しい。何故か惹き付けられて、僕でさえ我を忘れて見入ってしまう程。 しばらく見つめた後、彼はほっと息をつくと僕を見た。 「すごい、すごいよ、圭吾。」 「本当?」 「あぁ。マジで芸術って感じ。上手く言えないけどすげぇって事はわかる。」 「気に入ってくれた?」 「あぁ。」 「良かった。それ、僕の気持ちだから。」 「え?」 首を傾げる彼を見て、僕はにっこり微笑んだ。 邦宏くん?僕のあなたを想うこの気持ちは、キレイなものではないのはわかってる。十分すぎるくらいに。汚くてドロドロして、真っ黒な闇の中にいるみたい。 でも反面、こんなにキレイで美しいものがこの世に存在するのだと、この僕の中にあるのだと、初めて知った。それを教えてくれたのは、他の誰でもないあなた。 他に大切な人がいる人の事を愛してしまった僕は汚くて、だけどキレイなんだ…… .
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加