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―――
「そんな事望んでない!僕はあなたと彼女の事、別れさせようとかそんな事思った事なんて一度もないし、第一別れたって、僕たちは男同士だから幸せな未来なんて来るはずっ……」
邦宏くんの手が僕の手をそっと包む。僕は思わず言葉に詰まった。
「ごめんな、圭吾。そんな風に思わせて。俺が一緒にいたいと思ったんだ。あいつより、お前と歩いて行きたいって。例え男同士だって、俺はお前とずっと一緒にいたい。この先も、ずっと。」
「邦宏くん…ぐすっ……」
「泣かせてごめん。あんな事言わせて、ごめん。俺にはお前を壊すなんて、ましてや殺すなんてそんな事出来ない。ずっとずっと、大切にしていきたいって思ってるんだ。圭吾、愛してるよ。」
ぎゅっと抱き締められて、背中をぽんぽんと叩かれる。目の前がぼやけて、やがて何も見えなくなった。
目を閉じる前に見たあの絵が、何故か輝いて見えた……
―――
あなたの左手の指輪の跡が消えるまで、彼女の事を思い出すかも知れないけど、これでもうあなたは僕だけのあなた。
汚くてキレイな闇の中に、一緒に堕ちていこう。
あなたの愛に、溺れながら……
――僕と彼は、男同士だ。
だけど僕たちは愛し合っている。
ずっと、永遠に……
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