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―――
「よっと!ホントごめんな。俺がよそ見してたから。」
僕を立たせてくれた後、自分のスーツの汚れを払いながらちょっと困った顔でそう言う彼。僕は慌てて首を振った。
「いえいえ!僕が空なんか見ながら歩いてたから……」
「空?」
「あ、いや、あの~……いい天気だなぁ~と思って。」
「うん?」
僕の言葉に空を見上げる彼の横顔。何故か僕は目が離せなかった。
身長が平均より高めの僕より少し低いだろうか。スーツに包まれたその体は小柄で、手足はすらっと長い。最近お腹が気になっている僕には、ちょっと羨ましい……なんて関係ない事を思いながら彼を観察する。
身長は低いけどただ華奢なだけではなく、ついている所にはちゃんと筋肉がついていそうな感じ。さっきだってこの僕を片手で立たせてくれたし。
そして顔は小さくて、キレイに整っていた。
空を眩しそうに見上げるその憂いのある横顔は、いつまでも見ていたい程だった……
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