第1話 偶然の出逢い

5/5
前へ
/19ページ
次へ
――― 「よっと!ホントごめんな。俺がよそ見してたから。」 僕を立たせてくれた後、自分のスーツの汚れを払いながらちょっと困った顔でそう言う彼。僕は慌てて首を振った。 「いえいえ!僕が空なんか見ながら歩いてたから……」 「空?」 「あ、いや、あの~……いい天気だなぁ~と思って。」 「うん?」 僕の言葉に空を見上げる彼の横顔。何故か僕は目が離せなかった。 身長が平均より高めの僕より少し低いだろうか。スーツに包まれたその体は小柄で、手足はすらっと長い。最近お腹が気になっている僕には、ちょっと羨ましい……なんて関係ない事を思いながら彼を観察する。 身長は低いけどただ華奢なだけではなく、ついている所にはちゃんと筋肉がついていそうな感じ。さっきだってこの僕を片手で立たせてくれたし。 そして顔は小さくて、キレイに整っていた。 空を眩しそうに見上げるその憂いのある横顔は、いつまでも見ていたい程だった…… .
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加