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第2話 絵の中に込めた想い
―――
「あのさ。」
「えっ!?」
急に僕の方を向いて、声をかけてくる。僕は慌てて彼の顔から目を逸らした。
「それ……」
「え?」
「そのスケッチブック。君、絵描くの?」
「え?あ、はい。」
「へぇ~ちょっと見せてもらってもいい?」
「え……?」
「あ、ごめん!急に言われても嫌だよな。何言ってんだろ、俺……」
「いえ!嫌じゃないです。……どーぞ。」
ぶつかった拍子に落としてしまったカバンから少しだけ覗いていたスケッチブックを取り出して、彼に渡した。彼は大事そうに受け取ると、一枚一枚ページをめくり始めた。
『へぇ~』とか、『お~、すげぇ』などと声を上げながら僕の絵を見ている彼を、少々恥ずかしくなりながら見つめた。
「すごいね、君。とても上手だし、何ていうか……キレイだね。」
「え……?」
「君の絵、キレイだね。繊細なんだけど力強くて。」
真っ直ぐな笑顔で見つめられ、僕は顔が赤くなった。
「立ち話もなんだし、どっか座ろうか。」
「はい……」
きょろきょろと辺りを見回すと丁度良く公園があったので、僕たちはそこのベンチに腰かけた。
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