第2話 絵の中に込めた想い

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――― そして個展当日の日曜日。僕はアートフォーラムの前で彼を待っていた。そもそも来るかもわからないのに、開館前から待っている自分に内心苦笑しながら。 「よぉ!加賀美くん、だっけ?」 「あ……甲斐さん。」 ポンと肩を叩かれて振り向くと、彼の姿。僕は本当に来てくれた彼にちょっとビックリして、固まってしまった。 「どうした?」 「あ、あの……あ、来てくれてありがとうございます!」 焦ってお礼を言う僕を見て、彼はふわりと微笑う。その顔に心臓が高鳴った事は、気付かないふりをした。 「俺、こういうとこ来んの初めてだから朝から緊張してさ~ちょっと早く来すぎたかな。」 「大丈夫ですよ。今開いたばかりですから。」 「そっか。じゃ早速行こうか。案内してくれるだろ?」 「もちろんです!」 僕はそう言うと、彼を連れて中へと入って行った。 「すげぇ!個展ってこんな感じなんだ。」 「僕の先輩、この世界では結構有名で。すごいなぁ~、やっぱり。」 隣で感嘆の声を上げる彼は、しきりにきょろきょろと辺りを見回している。僕も先輩の絵を眺めながら、ため息を漏らした。 「君の絵は?」 「あ、そこの……」 少し離れた所にある僕の絵に案内する。近付いていくにつれ、僕は緊張で胸が張り裂けそうになった。 「ここです。」 「……すごいな。やっぱり君の絵、キレイだ。それでいて、とても悲しい。」 僕の絵を見上げる彼の横顔を、僕はじっと見つめた。 .
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