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僕は夜勤のある日、22時を過ぎた頃にナースステーションでパソコンの操作をしていた。
この日は夢咲さんも夜勤で、ナースステーションを出て病室の見回りをしているようだった。
仕事が一段落して僕が休憩室に行こうと思ってナースステーションを出て廊下を歩いていると、病室から歌声が聞こえてきた。
「坊やはよい子だ ねんねしな
この子のかわいさ 限りなさ
天にのぼれば星の数
七里の浜では砂の数
山では木の数 萱の数」
夢咲さんが病室の寝付けない子供のために子守歌を歌っているようだった。
聞こえてきた子守歌は、僕が幼い頃に聞いていた懐かしい子守歌そのものだった。
子守歌の心地良い歌声が、病院内に響き渡っていた。
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