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子守歌が終わったかと思ったら、そっと病室の扉が開いて夢咲さんが出てきた。
「あれ、月城先生どうなさいました?」
少し驚いたような表情で夢咲さんから声をかけられた僕は、
「お手洗いに行ってナースステーションに戻ろうとしたら、子守歌が聞こえてきました。」
と正直に答えた。
「あの子守歌は、どこで覚えましたか?」
と僕が夢咲さんに質問すると、
「私が幼い頃、夜寝るときに母が歌ってくれました。
『この子のかわいさ』という静岡県の沼津地方の子守歌なんですよ!」
と笑顔で答えてくれた。
「子供は、寝ましたか?」
僕が聞くと夢咲さんが、
「はい、かわいい寝顔で眠ってます。」
と教えてくれた。
「別の病室の子供の様子も見てきます。」
と夢咲さんに言われて僕は、
「はい、お願いします。
僕はナースステーションに戻ります。」
と答えた。
夢咲さんが隣の病室の扉をそっと開けて中に入っていったのを見て、僕はナースステーションに戻った。
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