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 もはやただの疑問じゃなくて、願望なんだろうか。  何か理由があってほしい、そしてそれを知りたいという、僕の好奇心。  いや、やめよう。本当にだんだん自分が気持ち悪くなってきた。  前方の横断歩道も、赤く光っている。止まれ。このおかしな思考、止まれ。  僕よりも数メートル前を歩いていたはずの市來さんの背中が、気付いたらあと数十センチまで迫っていた。ここの横断歩道の赤信号は、やたら長いのだ。  青に変わるまでの間、白線の手前では制服の渋滞が発生がする。後続の生徒も足止めを食らい、横断歩道前の喧騒が徐々に大きくなっていく。  その喧騒の中で「そっかー、でも私は雨好きだよ」というひとつの声が、たまたま僕のセンサーに引っかかった。
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