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「…階段下って、渡り廊下に近いほうの階段？」
「そうそう、そっち」
「ありがとう。放課後、取りに行って交換してくる」
「よろしくね。あ、あと点検表の備考の欄に、そのことちょっと書いといて。今日の日付と、ちりとり交換って」
「わかった」
ぼんやりしているとこのまま立ちつくしてしまいそうだったけれど、再びすたすたと歩いて自分の席へ戻っていく市來さんの姿を見て、僕もあくまで冷静に我に返った。手に持っていたちりとりを、一時的に清掃用具入れのロッカーに戻す。
市來さんは、一年生の時も二年生の時も美化委員をやっていたらしい。いつだかの定例会の時に言っていた。三年間もやっていれば細かい仕事にも詳しくなるんだろう。委員長の鑑みたいな人だなとつくづく思う。
でも、市來さんは頭が良くて真面目なだけじゃない。人との接し方がとてもフランクだ。さっきみたいに、僕なんかに対しても冗談を言ったりする。
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