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もう、白状してしまうと、僕はもっと市來さんと話がしてみたいと思っている。
たまたま同じ委員になって、何となく言葉を交わすようになって、そして、ビニール傘を使い続けていることに気付いて。
やっぱり、聞いてみたいのだ。ビニール傘の秘密について。
そこに理由なんて無かったとしても、確認したかった。
ホームルームが終わった後、市來さんに教わった通り、ちりとり片手に一階の階段下にある倉庫へ向かった。
中はそんなに広くなかったから、新品の清掃用具がある場所も廃棄用の段ボール箱もすぐに見つかったけれど、何せ初めて入る場所だから少し手間取ってしまった。
電気のスイッチがどこにあるのか分からず、薄暗い中でちりとりの交換をする羽目になった。
その後、気が抜けたせいか薄暗いせいか、中腰の姿勢から膝を伸ばしたら天井に思いっきり頭をぶつけてしまった。階段の下だから、天井が斜めになっていて低いのだ。
脳天がじんじんとしびれたまま、倉庫を出る。廊下がやけに明るく感じた。セミやモグラが地中から出できた時には、こんな気持ちになるのだろうか。
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