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 市來さんはもう窓際から離れて、自分の席に戻っていた。机の上には教科書やノートが広げられていた。 「本当に待ってたわけじゃないよ。最近は、放課後ちょっと残って勉強してることも多いし」  そりゃそうだ。僕がちゃんと帰ってくるか、そのためだけに教室に残っていたのだとしたら、仮にそれが市來さんの委員長としての責任感から来るものだったとしても、色々勘違いしてしまいそうになる。どうにも考えが先走る癖が僕にはあるから、なおさら危険だ。  分かっている。あくまで、勉強のついでだ。僕たち三年生は、言うまでもなく受験生だ。受験勉強に真面目に励んでいる市來さんを、僕も見習わなければならない。
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