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市來さんも文化部なのは同じなのかもしれないけど、僕と違って運動神経もかなり良い。五月の体育祭の時には大活躍していた。
それに調理部は、文化部の中では吹奏楽部や美術部に次ぐ大所帯だ。校舎の隅っこにある生物室でひっそり活動している僕たちとは全然違う。華がある。
「…あのさ」
「うん?」
無人の教室。僕と市來さん以外、誰もいない。
このまま、勢いで聞いてしまいたかった。ずっと気になっていることを。
けれど、一旦飲み込む。
「…さっき、何見てたの」
「ん?ああ…外?雨降ってるのかなーって」
今日の空も、分厚い雲に覆われていた。こうも連日天気が悪いと、青空の色を忘れてしまいそうだ。
「降ってた?」
「ううん、降ってなかった。あーあ、曇りって一番好きじゃない。晴れるか雨降るか、どっちかはっきりしてほしいな」
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