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「えっ、あっ、いいよいいよ、大丈夫だから」 「でも、傘見つからないんでしょ」 「いや…よくよく考えたら、傘差すほどじゃないかも」 「河野くん、ごまかすの下手」 「いやだから、ごまかしてるわけじゃなくて…」  だって、これは、俗に言う相合い傘というやつだ。周りに人がいないからって、それはさすがに欲張りすぎだ。  ビニール傘の秘密を知れただけでも、もう一生分の運を使い果たしたような気持ちなのに、それ以上のことなんてあっちゃいけない。バチが当たりそうだ。死んだ後、僕は地獄に落ちてしまうかも知れない。 「ねえ、すごい表情してるよ。なんか死んじゃいそうな表情だよ」 「いや、ちょっと、死後の想像を…」 「何言ってるの」
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