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出版業界天下の御三家がひとつとされる菊の文庫。それが、私、暁美 空の勤める会社。菊の文庫それは、御三家の中でも特に、文才に、秀でた作家が多く在籍しているということも、あり、ここには、マンガ界でいうところの、持ちこみという制度が小説でも、日々、適用されている。
-菊の文庫-とある片隅の一室-
「藤樫くん……前も、いったけど…何て言うのかなぁ……カッコつけてるのこれ?こうさぁもっとこの小説に、文面に、自分をさらけ出す。君にしか書けないそれを書いてくる。そうじゃないと、これは、ただのどこぞの有名作家さんの模倣品……残念だけどね……」
近頃の作家のたまごは、みな確かに、テクニックは、ある。だがそこに、誰も実は、ない。誰もだ。みなそろったかのように、誰かの、有名作家の模倣品をつけて足したかのようなものを持ってくる……
「暁美さん……次の方がおみえに、なっておりますがいかがなさいますか……」
「ああ…はいわかりました通してください」
え~と次のやつは……n-501?なんだその昔のガラケーみたいな名前は……
あ、ああ……そういえばこないだうちの班、主催の賞で、確か最終選考まで残ってたやつがたしかn501
「よろじぐおねがいしまず……」
「あ……はい……」
そいつは、ひどくやつれていた。もうぼろ雑巾かと思うほどの服を身に纏い、血走った目で、私の前に、座り、私を見る。
「では早速……」
…………
約130枚の原稿用紙に、書かれたそれは……
…………わかんんねぇ…………
「あのも一回読ませてもらっていいですか?」
私は、もう一度、彼の原稿に、はじめから目を通す。
…………
やっぱりわかんない……わからないが……彼は、私が思うに……たぶん……たぶん彼は、天才だ……だって……だって私は、……少なからず私は、こんなトンピな理屈っぽい小説読んだことがないのだから……
「あの……n-501さん……」
私は、すぐに、彼に、名刺を差し出していた……
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