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雨の音で目が覚めた。
時計を見ると、午前3時を過ぎている。
まだ、朝のこない時間だ。
網戸を閉めようと窓に近づく。
途端に、雨の香りがした。
同時に、涼しい空気が頬を優しく撫でる。
薄暗い静寂な世界はコンサートホールだ。
その世界に降る雨は、自然が用意した演奏家たち。
涼しい空気は、指揮者。
静かにタクトが振られるとー
雨が空から落ちてくる音
草に落ちて水滴が弾ける音
アスファルトに当たる音
土に当たる音
バラバラに聞こえる水滴が、静かな旋律を生み出す。
日常の暑さを、鎮めるための演奏会。
心地良くてしばらく、耳をすませていた。
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