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「おお、茜!久々ー。ここで飲んでたんだ?」
茜たちが飲んでいる席を見付けに行った茉優が白々しく声を掛ける。
「茉優さーん!お久し振りですね」
本当は迷惑なんだろうが、それを顔には出さずに笑顔で茜が手を振っていた。茉優は他の女の子3人を一瞥。知った顔はなかった。茜の友達とあって大人しそうな子ばかり。その視線に気が付いたのか茜が説明に入る。
「ゼミの仲間なんです。サブゼミが一緒になったので、親睦会みたいな感じです。茉優さんは誰と来たんですか?」
「茉優たちは3年メンツ。一緒に飲もうよ。絵里香が奢ってくれるからさ。何ならイケメンもいるよ?」
小さくなっていた女の子たちが「ええ、イケメン?」とざわついた。ここの大学は女子が多く、イケメンとなるとハードルは高くなる。これからのキャンパスライフを理想的に彩るには、少々の学業とイケメンを手に入れる必要があった。しかも先輩と言えば聞こえも良い。そのせいか女の子たちは合流したいという雰囲気。茉優の事が少し苦手な茜も、イケメンと飲みたいという気持ちで揺らいだ。しかも絵里香もいるとなると。
「どうする?茉優たちと合流する?」
茉優が1年生たちを口説いている間、こちらでは酒が進んでいた。絵里香は喋り方が変だが、裕福な家庭の娘だ。親からお小遣いを貰う頻度も高ければ、金額も高い。20歳の女の子が持たない様なブランド品も身に着けている。まともな感覚がなさそうだが、実は絵里香がこの4人の中では成績が良い。
「1年生たち何人かね?翔は茜って子は会った事あんの?」
「俺たちのキャンパス?なら顔見れば分かると思うけど」
「ちゃんとナンパしてるかなぁ?女の子多かったりしてぇ?」
「多かったら高校の友達呼ぼうぜ。なぁ?翔」
「ええぇ私も会いたいぃ。」
「お前はイケメンとヤリたいだろ」
「あいつら暇だろうから、多かったら呼ぶか。夏樹ちょっと連絡入れといて」
新歓には行ったものの特にサークル活動をしていない翔たちは、遊ぶ相手を見付けるのには必死だ。翔と夏樹は一緒に居る事が多い。絵里香や茉優とは履修が被った時に遊ぶ程度。というか、ほぼ、セフレ状態である。4Pをした事もある関係。
「ジョッキって秒でなくなるわ。酒はピッチャーで良くね?」
夏樹は空のジョッキを片手に店員を呼んだ。「ピッチャーで、、、」と酒の注文を店員に伝える。完全に1年生たちが来る前提での注文だった。翔はそれを聞きながら、タバコに火を点けスマホを見た。まだ返信がない事を再確認しただけの行為だった。
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