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「おやすみ」
眠りの挨拶が街で交わされる頃、甚く標高のある山の麓で、
一人の男が何者かとモニター通信を行っていた。
「……了解。只今より、任務を遂行する」
ホクアースは溢れんばかりに膨らんだリュックサックを背負うと、
土に塗れた足を機敏に動かし始めた。
山頂への道のりは至って長く、かつ険しい。
だが、この男にとっては慣れ親しんだ経路に過ぎない。
闇に怯える木々の隙間を、長靴の軋む音が断続的に通り抜けていった。
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