おやすみ、わたし。

4/6
前へ
/6ページ
次へ
ぬっ…とスマホから顔をあげました。 6畳ワンルーム。 ベッドと、テレビと、タンス、それに机が置いてある生活感剥き出しの部屋に、私はポツンと座っています。 洗濯物は洗濯カゴの中で溢れ、今日着た服はベッドに放置。夕食のカップラーメンとコンビニのからあげ棒のゴミは机の上に置いたままです。 恋愛経験が豊富? 私に彼氏がいたことはありません。告白されたこともありません。誰かとドキッとするような展開になったことすらありません。 スマホの画面がフッと暗くなって、自分の顔が反射して映りました。 一重、メガネ、中肉中背に見合った肉付きの顔、上を向いた鼻、1つに結んだ黒髪の私が、私を見返しています。 読者は、私の容姿をどんなふうに想像しているのでしょうか。 キュンキュンでエロ甘な小説を書いていて、恋愛相談にも親身にのって、つい最近彼氏にDiorのグロスをプレゼントしてもらって、休日は友達とおしゃカフェでチルしているとツイートする私を、どういうふうに想像しているでしょうか。 きっと、 それはそれは充実した、オシャレで可愛い女性だと思っているのでしょうね。 それは、『ネットの中での私』です。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加