おやすみ、わたし。

私は、スマホをテーブルに置きました。

おやすみ、ネットの中の“本当の私“。

また明日の夜、小説を更新するその時まで。

“本当の私”は、

彼氏がいて、友人もたくさんいて、オシャレで、優雅で、恋愛経験が豊富な、何十万人もの人をキュンキュンさせている人気小説家。

これが、“本当の私”。

こっちが、“本当の私”。

さあ、おねむり“本当の私”。

ネットの中で。

“本当の私”が眠ったら、

“裏の私”が、目の前にあるカップラーメンのカップと、からあげ棒の串を片付けて、洗濯物をどうにかしなきゃ。

(fin)