6人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
ふと見ると、湖の主がいなかったので、
「えっ、あれ? 湖の主は?」
『あー、湖の主なんて、元々姿の無い者ですからね』
と彼は笑った。
「はぁ‥‥なるほど‥‥」
私も笑い、その友人を連れて、小屋に帰った。
「えっと‥‥何か飲むかい?」
『いや結構、僕は人間じゃないので‥‥。
それより、この森の伐採が始まるのは、一週間後ですから、
それまでに準備を済ませた方がいいですよ』
「ところで、僕の今後の事だけど‥‥」
『ボクと一緒に、旅に出でもしますか‥‥。
ここに住めなくなるんですから‥‥。
それから自分の人生を、あまり真剣に考えない方がいいでしょう。
だいたい人間も自然と同じで、あやふやな者ですから‥‥』
「なるほど‥‥。しかし‥‥」
『とりあえず、旅の支度を優先すべきでしょう。
後の事は、おいおい考えていけばいいでしょう‥‥』
私は納得し、夕食の支度にかかった。
最初のコメントを投稿しよう!