サムシングを求める旅人

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 ふと見ると、湖の主がいなかったので、 「えっ、あれ? 湖の主は?」 『あー、湖の主なんて、元々姿の無い者ですからね』  と彼は笑った。 「はぁ‥‥なるほど‥‥」  私も笑い、その友人を連れて、小屋に帰った。 「えっと‥‥何か飲むかい?」 『いや結構、僕は人間じゃないので‥‥。 それより、この森の伐採が始まるのは、一週間後ですから、 それまでに準備を済ませた方がいいですよ』 「ところで、僕の今後の事だけど‥‥」 『ボクと一緒に、旅に出でもしますか‥‥。 ここに住めなくなるんですから‥‥。 それから自分の人生を、あまり真剣に考えない方がいいでしょう。 だいたい人間も自然と同じで、あやふやな者ですから‥‥』 「なるほど‥‥。しかし‥‥」 『とりあえず、旅の支度を優先すべきでしょう。  後の事は、おいおい考えていけばいいでしょう‥‥』  私は納得し、夕食の支度にかかった。
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