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そんなこと、言われても。
柳瀬さんに嫌われたら、どうしよう。俺は急にどうしたらいいかわからなくなって、泣きそうな気持ちになった。思わず、乳首を弄っていた指が止まる。
しゅん、と思わず萎れたら、柳瀬さんが手を伸ばして俺の髪に触れた。少しためらった後に、さわさわと撫でてくれる。
「ああ⋯⋯、ほんとに、困るんだけどな」
「困るって、やっぱり、嫌だってこと?」
ズボンの前をぱんぱんに押し上げていたものも、少しだけ勢いが止まった。
柳瀬さんがふー、と息をついて、両腕を伸ばす。俺の頬を包んで、じっと目を見る。
軽く汗ばんだ額にほつれた髪が張りついてるのが色っぽい。思わずそんなことを考えてしまった自分はバカだな、と思う。
「嫌だなんて、言ってない」
「だって⋯⋯」
「困るって、言ったの!」
柳瀬さんは形のいい眉を顰めて、呟いた。
「⋯⋯お客様に手を出した、って言われるでしょ」
「え、いや、手を出したのは俺じゃ?」
ぱん!と手で口を塞がれた。
「そういうことじゃなくて! 好きになったら、お互い様。ただ、こっちは仕事で来てるのに」
俺の耳は、今、すごいことを聞いた。
「⋯⋯待って、待って! 柳瀬さん。今、なんて言った!?」
「だから⋯⋯もう」
顔だけじゃない、耳まで真っ赤になっている。それがたまらなく嬉しくて、俺はソファーに乗り上げるようにして、柳瀬さんの体を思いきり抱きしめた。
「ねえ、もう一回言ってほしいんだけど」
耳元で囁くと、ぴくんと体が震えた。
「言ってくれないと、⋯⋯触るから」
そう言って、シャツの上から乳首を摘まみあげると、んあっ! と可愛い声が聞けた。
「⋯⋯かわいい。ねえ、もう1回」
シャツの上から、硬くなったところをカリリっと引っ掻くと、観念したように柳瀬さんは言った。
「はぁ。も、好⋯⋯き、です」
俺は、めちゃくちゃ嬉しくなって、もう一度速攻で、キスをした。
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