5.パエリアの色にとらわれる ※

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 そんなこと、言われても。  柳瀬さんに嫌われたら、どうしよう。俺は急にどうしたらいいかわからなくなって、泣きそうな気持ちになった。思わず、乳首を弄っていた指が止まる。  しゅん、と思わず萎れたら、柳瀬さんが手を伸ばして俺の髪に触れた。少しためらった後に、さわさわと撫でてくれる。 「ああ⋯⋯、ほんとに、困るんだけどな」 「困るって、やっぱり、嫌だってこと?」  ズボンの前をぱんぱんに押し上げていたものも、少しだけ勢いが止まった。  柳瀬さんがふー、と息をついて、両腕を伸ばす。俺の頬を包んで、じっと目を見る。  軽く汗ばんだ額にほつれた髪が張りついてるのが色っぽい。思わずそんなことを考えてしまった自分はバカだな、と思う。 「嫌だなんて、言ってない」 「だって⋯⋯」 「困るって、言ったの!」  柳瀬さんは形のいい眉を(ひそ)めて、呟いた。 「⋯⋯お客様に手を出した、って言われるでしょ」 「え、いや、手を出したのは俺じゃ?」  ぱん!と手で口を塞がれた。 「そういうことじゃなくて! 好きになったら、お互い様。ただ、こっちは仕事で来てるのに」  俺の耳は、今、すごいことを聞いた。 「⋯⋯待って、待って! 柳瀬さん。今、なんて言った!?」 「だから⋯⋯もう」  顔だけじゃない、耳まで真っ赤になっている。それがたまらなく嬉しくて、俺はソファーに乗り上げるようにして、柳瀬さんの体を思いきり抱きしめた。 「ねえ、もう一回言ってほしいんだけど」  耳元で囁くと、ぴくんと体が震えた。 「言ってくれないと、⋯⋯触るから」  そう言って、シャツの上から乳首を摘まみあげると、んあっ! と可愛い声が聞けた。 「⋯⋯かわいい。ねえ、もう1回」  シャツの上から、硬くなったところをカリリっと引っ掻くと、観念したように柳瀬さんは言った。 「はぁ。も、好⋯⋯き、です」  俺は、めちゃくちゃ嬉しくなって、もう一度速攻で、キスをした。
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