5.パエリアの色にとらわれる ※

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「な、な、なんで! この間、キスしたから? ⋯⋯客なのに、恋人になってって言ったから?」  柳瀬さんは、膝に置いた手をぎゅっと握った。 「⋯⋯それも、あります。ただ、それだけじゃなくて」  柳瀬さんは、ふー、と大きく息を吐いた。 「もう、ここじゃ料理が作れないから」 「作れない?」  柳瀬さんがおいでおいでと手招きするので、正面から移動して、すぐ隣に座った。  肩が触れてドキドキする。⋯⋯手、握ってもいいかな。そんなことを思っていたら、見透かされたように睨まれて、ひゅっと心臓が痛くなる。 「あのね、こっちも結構、大変なんです」  そう言って、柳瀬さんは俺の唇を塞いだ。  お互いの服を、もどかしく脱ぎ捨てた。  寝室に行こうと誘えばよかったのに、そんなことすら頭に浮かばなかった。柳瀬さんの唇が甘くて、体中に触れたくて。  ソファーに横たわった体は、白くて綺麗だった。通っているのは男子校だし、男の裸なんて見慣れているはずなのに。肌の色も体毛も薄くて、何だか別の生き物みたいだ。  首元から鎖骨に舌を這わせて、両手で乳首の先を弄った。どちらも赤く、ぷっくりと膨らんでいる。左側をちゅっと吸ってみたら、可愛い声が聞こえるから、ちゅちゅっとさらに吸ってみた。 「んッ! ⋯⋯だめ、そこ、だめ」 「こっちだけじゃ、だめ? じゃあ、両方吸うね」  左の乳首を指の腹でこねながら、今度は右の乳首を吸った。ちょろちょろと舌を這わせて転がすと、体をピクピクさせる。腹に硬くなったものが当たるので、そっと握ってみれば、もう先からは雫が滴っている。  男のモノを握るなんて考えたこともなかったけど、全然嫌じゃなかった。指で輪を作って扱きあげれば、細い腕がしがみついてくる。 「柳瀬さん、気持ちいい? ね、いい?」 「ん! ⋯⋯い、あっ!」  俺の手に、どろりとしたものが吐き出される。
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