5.パエリアの色にとらわれる ※

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「いちろ」  名前を口に乗せたら、全てが甘い響きを持つ。嬉しくなって、何回も呼んでみた。そうしたら、起き上がった柳瀬さんが、なぜか真っ赤になって俺の額にキスをした。口を尖らせて、俺を見る。 「ああ、もう。料理だけじゃなくて、全部、食べられてる気がする」 「全部?」 「そう。体も、心も」   食べてる? 食べられてる? どっちなんだろう。  拗ねたように顔をそむける姿が可愛くて、思いきり、ぎゅうぎゅう抱きしめた。 「食べたいなあ。全部」  やっぱり料理も作ってほしいし、もっと一緒にいたいし。 「ねえ、明日も食べたい」  そう囁いたら、頬を思いきり、つねられた。  【明日も食べたい 了】 ──────────────────── 本編、これにて終了です。 タカと一路を見守っていただき、ありがとうございます。 おまけの番外編にて、その後の二人をお届けします😊
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