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残ったものも全部、一路の中に出し尽くして、体がぶるりと震える。汗が光る背中を抱きしめて、ベッドに重なり落ちた。
一路の中にはまだ俺がいて、一路の中は俺の出したものでいっぱいになっている。細かくひくついて絡みついている肉襞を揺らすと、腕の中の体が小さく喘ぐ。
一路にキスしたくて、顎を無理やりこちらに向けた。
上気した顔に、大きな瞳がとろりと溶けている。小さな口から覗く舌を吸い上げて互いに絡み合わせた。
「⋯⋯タカぁ⋯⋯。すき⋯⋯だいすき⋯⋯」
一路が、舌ったらずな声を出す。ああ、本当にエロくて可愛い。
抱きしめたくて、繋がったまま向きを変えようとすれば、あん、と喘ぎながら腕を伸ばしてきた。
「うん。俺も好き。一路が最高に好き」
やばいなあ。こんなに好きで大丈夫なんだろうか。俺自身がもう一度、むくりと大きくなるのがわかる。
一路が眉を寄せたけれど、目尻は赤く潤んだままだ。
ちゅちゅ、と鼻や頬にキスをする。
「ね、もう一回⋯⋯したい」
目を見て囁けば、答える代わりに一路は顔を近づけ、俺の口を塞いだ。
一路はその後、担当替えをやめてくれた。
担当を続ける代わりに、俺は一路の食事作りを邪魔しないことを約束した。食事ができるまでの間、借りてきた猫のようにおとなしくしている。
俺は「お客さん」でもあるからって、タカと呼び捨ててはもらえない。でも、ベッドの中でだけは呼んでくれる。
体を重ねる時だけ呼んでくれる声が、甘くて舌ったらずでぞくぞくするから、それもいいなと思うんだ。
「一路」
「なに、タカくん」
「タカ、って呼んで」
「⋯⋯タカ」
一路は、俺を呼び捨てる時、目が潤んでとびきり色っぽい顔をする。
本人は気づいてないんだろうな。抱きしめながら、俺はたまらなくなってキスをする。
一路、と名を呼ぶ。
そして。
「タカ」と。
君に呼ばれて、最高に幸せ。
【君に呼ばれて 了】
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お読みいただき、ありがとうございました。
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