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「俺、付き合ってるって言ったっけ?」 「言ってなかったか?」 「隠してたつもりなんだけど」 「ダダ漏れだぞ」 きっぱりと言い切られて、焦りやら恥ずかしさやらで身体が熱くて寒い。風邪かもしれない。 「なんで隠すんだよ。正直今更だろ?」 こちらの体調不良など知る由もなく友人は興味もなさそうに聞いた。誤魔化せそうにないので、颯は渋々事実を話す。 「先生は他のゼミ生を対等に評価できなくなることを心配してる」 あー、と納得するような相槌のあと、友人は続けた。 「その点は心配する必要ないと思うけどな」 「俺のせいで先生の立場が危うくなるのも嫌だし」 「じゃあ修了するまでお預け?」 「……」 「それは無理だったんだな」 あっさり見抜かれ、ばつが悪くなる。 「まあ心配するな、むしろこれまで以上に厳しくなってるぞ」 「え、そうなの?」 「なんで他人事なんだ……」 心底呆れたという声で零し、向けられた表情はほとんど悲しげだった。 「心配だよ。お前の……将来が」 「素直に喜んでほしいんだけど」 切実な思いはしみじみと首を振られて消えた。
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