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僅か数メートルの距離でも、着く頃には全身水浸しになっていた。濡れた身体に吹き付ける風が、8月とは思えないほど冷たく感じる。小さく身震いしながら鍵を開け、急くように中へ転がりこむと、すぐに颯が続いた。 背後でバタンとドアが閉まる音が響いたかと思うと、肩を強く掴まれぐるりと身体を回され、壁に押し付けられる。その時には熱く唇を塞がれていて、千晃は低く呻いた。 長く濃密に舌を絡ませて、やっと満たされたように颯はゆっくりと顔を引いた。 「……びちょびちょですね」 「そりゃ あの雨の中走ってきたからな」 ふと押し付けられた身体が濡れているのに気付き、千晃は首を傾げる。
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