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ぽつ・・・
「ん?」
野良猫のヤンの鼻の上に、1滴がぴちゃんと滴り落ちた。
ぽつ・・・
ぽつ・・・
ぽつ・・・
ぽつ・・・
「何だか、やな予感だにゃ・・・?」
その1滴は5滴になり、10滴になり、50滴になり、更に無数に増えてどんどんどんと野良猫のヤンのサビ柄の身体に束になって滴り落ちてきた。
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
「やばっ!!やばいにゃぁ!!」
忽ちずぶ濡れになった野良猫のヤンは慌てて、突然空から襲ってきた大粒の雨の攻撃から逃げた。
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
「やだやだやだやだやだやだやだ!!どこどこどこどこどこに隠れればいいんだにゃ!!!」
濡れ猫のヤンは、雨宿りになる家の軒下を探して探して駆け回った。
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
「ダメだにゃ・・・どの家も外に水入りペットボトルを置いて、『野良猫お断り』の意思表示してるにゃ・・・」
野良猫のヤンは振り向くと、家の窓の中で飼い猫が覗いているシルエットが見えた。
「う・・・羨ましい・・・飼い猫が羨ましいにゃ!!
一身に飼い主の人間の愛情を受けてるんだにゃ・・・
同じ猫なのに!!同じ猫なのにぃぃぃ!!
あ、こいつ俺を見てニヤニヤ嘲笑ってる!!きーーーー!!ムカツクニャーーー!!
俺は好きで『外猫』してるんじゃ無いにゃ!!」
ひっきりなしに降り続ける大粒の雨をもろについて、更にずぶ濡れになっていく野良猫のヤンは激しく嫉妬した。
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
ぴかっ!!
「ひゃっ!!空が光ったにゃ!!」
どどーーーーーーーーーーん!!
「雷ぃぃぃぃーーーー!!うにゃーーーーーー!!怖い怖い怖い怖いにゃーーーーー!!」
突然の鳴り響いた落雷の音にビビった野良猫のヤンは仰天して、猛ダッシュで夕立の住宅街を走っていった。
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