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「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ここなら安心にゃ・・・」
夕立の豪雨でずぶ濡れになった野良猫のヤンは、慌てて潜った廃屋の軒下でブルブルと身体を振るって毛に付いた雨水を落とした。
「でも、ここは誰も人間は住んでないみあいだニャ?随分ボロボロだし、蔦が覆ってるし。」
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
「うにゃーーーーーー!!」
更に豪雨の雨足のボルテージがあがり、軒下にも雨水が侵入して慌てて外へ飛び出した。
「あっ!!割れたガラス窓!!ここから家に入ろう!!」
野良猫のヤンは割れたガラス窓に身体が傷付かないように慎重に入り込むと、薄暗い廃屋の中に飛び込んだ。
「うわーーー!!きったない。」
廃屋の中はゴミが散乱しており、倒れたタンスやシミだらけの布団が目に入った。
「でも、少しの辛抱ニャ。ただの雨宿りで間借りするだけニャ。ちょっとお邪魔しまーす。」
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
ぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつ・・・
ぽった、ぽった、ぽった、ぽった、ぽった、ぽった、
外から、激しい豪雨の雨音が廃屋の中まで響き、
屋根から雨漏りがしてるらしく、上の2階から滴り落ちる滴の音まで聞こえてきた。
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
ぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつぽつ・・・
ぽった、ぽった、ぽった、ぽった、ぽった、ぽった、
「雨音・・・うーん、雨音・・・雨音聞いていたら、何だか眠くなってきたニャ・・・
おやすみニャ・・・」
シミだらけの布団の中にくるまって、野良猫のヤンはウトウトと眠りこけた。
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
ぴかっ!!
どどーーーーーーーーーーん!!
「うにゃーーーーーー!!」
いきなり轟いてきた落雷の音に、野良猫のヤンは仰天して飛び起きて2階へ逃げた。
つるん。
「うにゃっ!!」
どすん!!
階段が2階の雨漏りの雨水でずぶ濡れになって、肉球を滑らせて野良猫のヤンは階段から転げ落ちた。
「いてててて・・・散々にゃ。」
尻餅をついた野良猫のヤンは、尻を肉球でさすりながら呟いた。
ガサゴソガサゴソガサゴソ・・・
「ん?誰にゃ?!」
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