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廃屋の中でガサゴソも物音がするのを聞き付けた野良猫のヤンは、その物音がする方へ忍び足で向かっていった。
ガサゴソガサゴソガサゴソ・・・
野良猫のヤンは、耳を側たててガサゴソと蠢く者を逃せまいと神経を尖らせた。
・・・もし、これがネズミだったらやだニャ・・・
・・・だって俺、ネズミを捕らえようとしたら逆にコテンパンにのされてから俺・・・ネズミがトラウマになって・・・
・・・ネズミじゃありませんように・・・!!
・・・ネズミじゃありませんように・・・!!
ぴかっ!!
雷が光った。
一瞬、雷の光で1匹の獣のピンク色の鼻から通る1本の白い線の通った顔が目の前に現れた。
どどーーーーーーーーーーん!!
「うにゃーーーーーっ!!」
「うぎゃーーーーーーーーっ!!」
野良猫のヤンと白い線の獣はお互い仰け雷が落ちる音に仰天して反った。
「ん?」
「君・・・猫?」
ざぁーーーーーーーーーーーーー!!
「ごめん!!君が遠くて雨の音で声が聞き取れない。」
すると、白い線の獣はピンク色の鼻を野良猫のヤンの顔に近づけて言った。
「うん。やっぱり君は猫だね。ここの辺の猫?」
「俺は野良猫だけど、雨宿りしにここに立ち寄ってね、だから縄張り外だし顔見知りじゃいか・・・って、
何言わせわるんだよ?君こそ誰?」
「俺はハクビシン。ハクビシンのヤン。この廃屋の主さ。」
「あ、俺の名前も『ヤン』だ。野良猫のヤン。」
「おお!僕と同じ『ヤン』か!!『ヤン』と『ヤン』同士!!
僕は『ジャコウネコ科』だから、『ネコ』同士でもあるね!!」
ハクビシンの『ヤン』は、野良猫の『ヤン』にいろんな話をした。
この家屋は、だいぶ前に夜逃げがあったらしくこのまま放置されている事。
2階は雨漏りがするけど、晴れてる時は昔子供部屋だったらしく、放置してある玩具で遊ぶのに填まってるとか。
廃屋の中の2匹の『ヤン』同士の話は弾んだ。
廃屋の外の夕立は、いつの間にか段々小雨になっていった。
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