雨降り始め

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 雨降り始め学校の、昇降口で足止めだ。カサを忘れたボクは、雨が止むのを待っていた。ふと端の方を見ると、橋下さんがひとり立っていた。同じクラスに属してはいるが、無口で近寄りがたい雰囲気を持った女の子だ。「キミも雨宿り?」ボクが問いかけると、橋下さんはコクリと頷いた。彼女が不自然な恰好で立っているのでよくよく見ると、こっそりお腹のあたりを隠しているようダッタ。「迷信を信じているの?」ボクはクスクス笑いながら言う。そして彼女はか細い声で小さく答える。「いいえ。オヘソがあるのを、私にオヘソがついていることをしられたくないの」  ボクはゲコと鳴いた。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!