阿久津君の残念な日~番外編~

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「そうだったんだ?」 「っていうか、後ろ姿で分からない?いきなりキスマークつけようとかするな、気持ち悪い」 「だって、髪、タオル巻いてたし。真尋わざとだろ?」 「阿久津がバカなだけ」 なんかその冷めた視線、孝志から会社でもよく送られてくるヤツ。 今の俺、マジで凹みそうだから止めて。 「っていうことで、お前の部屋、こっちね」 いきなり真尋は違う部屋のキーを机の上に滑らせる。 「なんで?」 「今日は真衣、飲み過ぎて使い物にならないようだから、明日にして」 「明日って、帰るだけじゃん。チェックアウトだって早いし」 「もう一泊追加したから」 「いやだって、月曜、会社だし」 「堂島さんに阿久津が有給とるって報告済み。土日出勤続いてたから、そろそろ振休とらせるタイミングだったらしいし。最近、うるさいから、お役所。」 「だって、真衣ちゃん・・・」 「そうゆうこともあろうかと、真衣にはもともと有給とらせてあったし。まぁ、名目は僕の会社立ち上げのための用件ということで、真衣には言い含めてたし」 「今日のこれって、織り込み済み?」 「今まで、何度、真衣とのデート、ドタキャンしてきた?真衣は何も言わないだろうけど、さすがに最近元気なかったし。最悪のことを想定していおくのは僕のポリシー。でも、これ、すっごい大きな借りな」 きっと俺はこの男に一生頭が上がらない。 将来の関係性としては、俺の方が兄になるはずなんだけど、真尋より立場が上になることはなさそうだ。
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